需要とかバズとかマスとかの話になると、アイスランド人の作家たちが人口約30万人の自国民に向かってアイスランド語で小説を書いている事実を思い出して、自分を奮い立たせている
うちの子たち #ミスキーガール #不破なす子 #現象ちゃん #ミっちゃん不破ちゃん現象ちゃん
リアクションシューティングの弾薬を製造するリアクションシューターおじさんを描きました。ご査収ください #カフェテラスMisskeyio image
#与謝野晶子生誕祭 image
Misskey.ioのローカルタイムラインの表通りは12月を目の前にしてすっかりクリスマスのイルミネーションが華やぎ、様々な絵師たちの「うちの子」たちが冬服を身に着けて颯爽と歩道を闊歩していた。Misskey.ioのサーバーの街の翠色の空の下、寒風に負けじとタイツやニーハイソックスの脚をせわしく動かして行き交っている姿に、アイコンデコレーションでサンタ帽をかぶったミスキストは「かわいい」「かっこかわいい」「栄養がある」などのリアクションを飛ばしては街を華やかにしていた。  そんな中でも、とある「うちの子」が、今日は大人気だ。11月29日。それはMisskey.ioでも特に著名な「おくらちゃん」の誕生日である。ビル群の大型ビジョンやデジタルサイネージにはおくらちゃんのファンアートが溢れ、彼女を話題にするノートにもリアクションが集まっていた。  その様子を、表通りに面したカフェテラスで眺めている三人の女の子たちがいた。小さな子と、中ぐらいの子と、大きな子。JSおくらちゃんと、JCおくらちゃんと、JKおくらちゃんだった。三人はテラス席のテーブルで誕生日ケーキを囲みながら、Misskey.ioの街を覆うおくらちゃんファンアートを眺めて、ご満悦な様子だった。  私はそんな彼女たちの様子を、少し離れたテラス席でぼんやり眺めていた。テーブルを挟んで私の正面には、ショートボブに丸眼鏡の女性――私が勝手にミスキーガールと呼んでいる――が座って、二人でホットココアを飲んでいた。 「随分とうらやましそうだね」  ミスキーガールにそう声をかけられ、私は少し吃驚して彼女に振り向く。 「そんな風に見える?」 「そりゃもう。『うちの子たちもあんな風に人気になったらなあ』って感情が見え見え」  ミスキーガールはそう言って、皿のベイクドモチョチョをひと口食べると、私に向かって続ける。 「あなたにとっての『ミスキーガール』は、どういう存在?」  そう、私が勝手に呼んでいた名前を、最近は彼女自身も受け入れて、自称し始めている。ミスキーガールは自分をミスキーガールと呼んだ。私はその意を酌んで、答える。 「大切だよ、もちろん。ただ、君の誕生日は3月1日だから、今年お祝いするのは難しい。来年には、もちろんね」  私の言葉に、ミスキーガールは呆れたようにため息をつき、楽しそうにスマホを構えるおくらちゃんたちを見つめながら、言った。 「いま祝ってくれても大丈夫だけどね。今わたしがここにいることを、もっと祝福してくれてもいいんじゃないかな?」 「分かってる。負けないつもりでいるよ」  私の返した言葉に、ミスキーガールは振り向いて、首を傾げる。 「誰に?」  その質問に、私は思わず腕組みしながら返す。 「田部さんに。ショートボブで眼鏡キャラが被ってる君だけど、先にMisskey.ioに姿を現したのは君なのだから、そこはきちんと訴えていくつもり」  MisskeyHQの経理担当として10日ほど前に現れた田部澪さんのことを、私は気にしていた。ボブカットに眼鏡をかけた姿は、ミスキーガールの容姿とかぶっている気がしたからだった。その上に経理キャラとして村上さんやしゅいろさんを叱咤する姿は、Misskey.ioのミスキストたちから人気を得るのに時間がかからなかった。  羨ましい。おくらちゃんも、田部さんも。そんな気持ちを抱える私の回答に、ミスキーガールは頭を抱えて、さらにため息を大きくついて、私をなじる。 「別に、MisskeyHQのひとを目の敵にしなくてもさあ。いい? あなたはあなたのやり方でわたしを祝福すればいいの。他人に影響されてたらダメ」  ミスキーガールにそう言われて、私は腕組みしながら、うなずくしか他ない。 「うん。うん。でもさ、気にはなるじゃない。みんなから愛されてもらいたいもん、君も」 「その気持ちはありがたいけど、競わないで、持ち味活かしていこう、ね」  そう言ってベイクドモチョチョをもうひと口食べたミスキーガールは、またおくらちゃんたちのほうを眺めて、少し微笑んで見せる。 「にしても、確かにいいよなあ、おくらちゃんは。みんなに愛されて。あなたももう少し頑張ってよ、わたしの宣伝」  そうやって意地悪く笑うミスキーガールに、私は組んだ腕を解いて、ココアをぐっと口に傾け、言う。 「君も着る? 学生服」  私の言葉に、ミスキーガールは苦笑いで答える。 「わたしは、いいよ。普通の委員長キャラか、陰キャになっちゃうし」  Misskey.ioのローカルタイムラインの表通りは、今日いっぱい、おくらちゃんのファンアートで賑わうだろう。向こうのテーブルの三人のおくらちゃんたちも、存分にその祝福を浴びて、幸せに笑っている。私とミスキーガールも、いつかそんな風に笑えるだろうか――それは私の努力と、ミスキーガールへの、そうだな、愛、にかかっているのだろう。愛か。私はいままで、きちんと誰かを愛することができただろうか? そんな不安を抱く私を目の前に、ミスキーガールはスマホを掲げて、おくらちゃんたちを祝福するローカルタイムラインの表通りの様子を撮影する。わたしはミスキーガールと、向こうのテーブルのおくらちゃんたちを交互に眺めたあと、思わず空を見上げた。  Misskey.ioのサーバーの街を覆う翠色の空の西へと、真珠色の太陽が沈んでいこうとしていた。もうじき空は濃い碧色になりエメラルドの月が昇るだろう。そんな冬の空を見上げながら、私はミスキーガールのほうに改めて向き直り、その麗しい表情をじっと眺めて、ただひたすらに見入っていたいと思った。 おくらちゃんのファンアートが描けなかったので早急に怪文書にしましたが、結局うちのミスキーガールさんのお話になってしまいました。スミマセン……。 ですが改めて、HAPPY BIRTHDAY、おくらちゃん! #おくらちゃん生誕祭2023 #カフェテラスMisskeyio #ミっちゃん不破ちゃん現象ちゃん #MisskeyWorld
冬服の不破なす子さんを描きました。ご査収ください #ミっちゃん不破ちゃん現象ちゃん image
私と、私の文学の師たる先生の話  Misskey.ioのローカルタイムラインの表通りは時として怪文書の濁流であり、性癖の大河であり、通勤通学を偉業として讃え合う天の川である。しかし本日においては、柔らかな猫の群れの行列であった。ミスキストたちのblobcatパレードが行われていた。  涙目のblobcat、サイリウムを振るblobcat、虹色に点滅するblobcat、みな思い思いにblobcatの格好をして色々な感情を表し、ショタやメスガキはblobcatを可愛くハロウィンコスチュームのようにアレンジしていた。総じてかわいいことに揺ぎなく、その一体感は表通りを黄色い高揚感で染めていた。  人類は猫の不定形な柔らかさを愛している。その猫の可塑性を具現化したのがblobcatであり、Misskey:ioにおいてはその柔軟な存在感がミスキストの心をとらえ、特定の心象を表すことに的確だとされたのだろう。blobcatは喜怒哀楽のすべてを可愛くしていた。  コーヒーを吹くblobcatがこのカフェテラスに居たら面白そうだと思ったが、座っているのはblobcatの群れにリアクションシューティングを送り、性癖にストライクしたblobcatコスプレをお気に入りにこっそりとしまう、つつましやかなミスキストたちであった。そんな中で私は今日も、Misskey.ioのローカルタイムラインという表通りに面したカフェテリアで、ココアとベイクドモチョチョを頂きながら、にぎやかな風に吹かれていたのだった。  そのテーブルに、音もなく、人影が射しこんでくる。 「地に落ちたな」  声に振り向くと、そこには背広姿の白髪の男性が立っていた。 「先生」  私の文学の師匠たる先生であった。先生は私を、枯れて腐った鉢植えを眺めるようなまなざしで見下ろしていた。 「どうされたんですか。どうしてMisskey.ioにいらっしゃるんですか」  私が訊くと、先生は首を横に振った。 「孫が面白いSNSがあるからと言うので連れられて来た。SNSというのは査読のないエゴの漏洩だと思っているが、ここは特にひどいな」 「なぜ、私がここにると」 「喫茶店を探していたらたまたま君がテラスにいた。変わっていないな、その間抜けなツラは」  先生はそう言って私の向かいに座り、ジャケットの内ポケットからスキットルを取り出して口を付けた。 「君、なにやら怪文書とやらを書いているそうじゃないか、無邪気に」 「ご覧になったんですか」  私が冷や汗をそのままに竦んでいると、先生はパレードの光景を極めて不服そうに眺めていた。 「こんな無償ポルノサイトみたいなところで自分の下等な思想と出来損ないの文章力を褒めてもらって満足か、君は」 「そんな風におっしゃらなくても」 「私に師事しておいてこんな体たらくで生きているのだから、それだけの侮辱は覚悟のことだと思っていたのだがな」  ひときわ巨大なblobcatの山車が目の前を通り過ぎていく。周りではサイリウムを振りながら踊るblobcatのコスプレのキヴォトスの娘たちが笑顔を振りまいている。 「この騒がしい群れと同じなんだよ、君の駄文は」  その言葉に私は今日、先生を目の前にして初めて反駁を試みようとした。 「……私の作るものが駄文であることは認めましょう。でも彼ら彼女らを蔑むような言いぶりはお控え願えますか」  私が言うと、先生は鼻で嗤う。 「君、昔から変わらないな。高踏を決め込まないと文学的な観察眼は得られないと何度となく行ってきただろう。君はそれを拒否してあらゆる問題の当事者になって訴えようとした。そんなことはひとりの人間に出来るはずがないのに。案の定君はくだらない独り身の貧乏人という現代の弱者としての当事者性しか抱えられず、世界を相手に論を展開する力を得られず、この先ダラダラと死にそびれて人生をフェードアウトしようとしている。情けないとは思わないのか」  先生がゆっくりと、しかし一切の割って入る隙を与えない語り口で私をそう評したとき、巨大なblobcatが虹色に激しく点滅し始めた。観客に倒れるものが現れたりして騒然となっても、先生は私から一切目を逸らさない。私は絞り出すように言葉を返す。 「私は、ただ、救われたかったんです。文学は私を救ってくれると思っていた」 「救われたいと思うならそれ相応の自己犠牲が必要だろう、文学に対しての」 「そんなにも、文学というのは、苦しみなのですか」 「少なくとも、救済を求めて書かれるものではあっても、君のように慰撫を求めて書くものではない。換金を図らないだけまだ節度があるとだけは言っておこう」  先生はそう言って、席から立って、軽く手を挙げた。視線の先には、孫娘であろうか、十代くらいの女の子が手を振っていた。 「じゃあ、もう会うことは無いだろうが」 「待ってください」  私は立ち上がって、先生の眼を正面から見つめた。 「文学が慰みではないのは百歩譲って認めましょう。でも文学も慰み事も、それぞれに価値があって、等しく価値が無いのですよ、先生」 「なに?」 「貴方は文学と相思相愛になれた運のいい人というだけで、それが文学を絶対的に価値あるものとするわけではない、それはむしろあなたの自惚れです。救いになるなら、スポーツでも、金融でも、怪文書でも、等しく価値がなく、等しく救いになる。それが、私があなたから離れて、過ごしてきた時間の中で出した答です」  私がそこまでまくしたてると、先生は無表情に視線を落とした。 「君の思想は一切、全く持って受け入れがたいが、一人の人間として一つの答えに到達した、そのことだけは褒めてやろう」  先生はそう言って、カフェテラスから去っていった。  blobcatのパレードは佳境に入り、超巨大ツチノコ村上さんのバルーンが通りの奥から現れて、行き交いのひとびとはスマホを掲げて写真を撮り始めた。村上さんも柔らかな猫の一人であり、その柔軟性は人間社会を潜り抜ける哲学の体現であると言えるだろう。では私の思想は?  一匹のblobcatが、村上さんのバルーンの下を、泣きじゃくりながら歩いている。多くのblobcatが喜びを爆発させる中で、まるで私みたいに。  やめよう。私は考えるのを諦めて、冷めきったベイクドモチョチョを頬張りながら、先生と過ごした青春の日々を思い返して、後悔することもできない自分の無力に打ちひしがれるのだった。