げ's avatar
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誰が焼鳥じゃ!琴葉姉妹と紡乃世詞音ちゃんと双葉湊音ちゃんが好きです。https://voskey.icalo.net/clips/9e8g79vgts
別に油断していたわけではないが、今までずっと私独りでもそこらの悪霊程度どうにでもできていた。双子の姉には及ばずとも自分にも才能があると自負していた。その私が目の前のソレには手も足も出ない。それも文字通りだ。この私が金縛りにあっている。身体は動かし方を忘れたかのごとく硬直している。 夜闇の中にあっても一際どす黒いソレは手と思しきものをこちらに伸ばしながらゆらりゆらりと近づき始めた。あの手に掴まれれば身体を乗っ取られてしまうかもしれない。直感的にそう気付いた時に冷静に状況を俯瞰していたつもりの私はようやく恐怖した。怖い。誰か助けて……!そう口に出そうにも喉から顎まで筋肉が引き攣って何の音も出なかった。 ソレの実体のない手が私の胸元にぬるりと伸びる。もうダメだ。キュッと目を瞑る事すら叶わない。全てを諦めていたその時、私の目の前に迫ったソレの身体に華奢な拳が真横からめり込んでそのまま吹き飛ばした。 「待たせたね、葵ちゃん」 「弓鶴……大丈夫だったの?!」 「本家の人間を舐めてもらっては困るね。あとはお兄ちゃんに任せなさい」 男子にしては華奢で、どことなくなよなよした実兄の背中がこれほど頼もしいと思えた事はなかった。