Macop(まこぷ) yesterday しとしとと雨が降っている。 「今日はこれ以上進めないな」 「どこかで雨宿りしないと。風邪引いちまうよ」 無も知らぬ友人二人が呟く。 雨に濡れ黒々と光る火山岩の渓谷の高台にあばら家があるのを見つけ、今日はここで一晩明かすことにする。 隙間だらけの板戸を開けると煤けた暗い屋内が見える。雨漏りしている様子はなく、一晩眠るくらいなら十分だろう。 友人は積んであった薪で囲炉裏に火を入れる。僕と友人は火を囲みとりあえず暖を取る。 「あいつどこまで逃げたんだ」 火で手を炙りながら対面で友人が文句を垂れる。 「道はここしかないからこっちで間違いはないだろ」 水を張った鍋を持ってきたもう一人の友人は言いながら鉤棒にそれをかける。 薄暗い屋内で焚火に照らされる二人の顔を僕は全く見覚えがない。ただ長年の友人なのは分かる。 「魚でも獲ってくる」 鍋の水がふつふつと沸き出す頃、一人が腰を上げ裏口から出ていった。沸いている白湯を見ていても仕方ない。雨の中出ていくのは億劫だったが手伝うために僕も裏口の、ただ立てかけただけのような戸を開けて外へ出る。 裏手はすぐ川になっていた。火山岩の凹凸を縫うように走る川は幾重にも分かれ、積み上がるほどの鮭の死骸で溢れていた。 これは…傷んでるか、食うのは無理かと思いながら死骸を踏まないよう避けながら進む。ときおり頭の角張った異様な魚が混ざっているのを見かける。 友人は笊を片手に川岸で小魚を掬っていた。 「どれが食えるんだ」 友人の傍らに立ち、水を覗きながら僕は声をかける。 「この丸っこくて小さい魚は食える。うまいぞ」 水底に沢蟹が幾匹も佇んでいるのが見える。これも揚げたら美味そうだなと思うが油はない。 「あとこの貝な。」 友人は黒い二枚貝を拾うと差し出して見せる。 この貝なら僕でも捕れそうだ。見れば川底の砂地と岩の境目にいくつも張り付いているので水に手を突っ込み大雑把に拾い上げる。 掬った手の中に茶色い巻貝が混ざっているのを見つけ、指で摘んでぽいと投げ捨てる。 「あっ。それも食えるのに」